「G検定って数学ができないと無理ですか?」これは受験を検討する人から最も多く寄せられる質問です。結論を先に書くと、計算問題はほぼ出ないので、文系出身でも合格できます。ただし、ディープラーニングの仕組みを理解するための「数学の言葉」は最低限知っておく必要があります。
本記事では、合格レベルに必要な数学を3分野(線形代数・微積分・確率統計)に分けて整理します。すべて「概念の理解レベル」で十分で、計算をゴリゴリやる必要はありません。
結論:必要な数学レベルは「高校1〜2年程度」
G検定で問われる数学は、ほぼ高校レベルでカバーできます。むしろ、計算より「言葉として知っているか」「概念を理解しているか」を問う問題が大半です。たとえばこんな感じです。
「次のうち、ニューラルネットワークの学習で用いられる手法として誤っているものはどれか」
(選択肢に「勾配降下法」「誤差逆伝播法」「サポートベクター」など)
数式を解くわけではなく、用語の意味と適用範囲が分かっていれば解けます。以下で、最低限知っておくべき内容を分野別に整理します。
1. 線形代数:ベクトルと行列の基本
ディープラーニングは「入力・重み・出力」がすべて行列演算で表現されます。計算はできなくていいので、以下の用語と意味を押さえましょう。
押さえるべき用語
- ベクトル:数値の並び。例:(身長, 体重) = (170, 65)
- 行列:ベクトルが縦横に並んだもの。画像データもRGBの3次元行列で表現される
- テンソル:3次元以上の行列。動画や時系列データを扱うときの基本単位
- 内積:ベクトル同士の「向きの近さ」を数値化する操作
- 行列の積:ニューラルネットの各層の計算は、これの繰り返し
- 転置・逆行列・固有値:用語として知っていればOK
「行列ってなんで使うの?」の答えは「大量の数値を一度に効率よく計算するため」です。これだけ覚えておけば応用問題でも迷いません。
2. 微積分:勾配と最適化を理解するため
ニューラルネットの学習=誤差を最小にするように重みを少しずつ調整するプロセスです。この「少しずつ」を数学的に表現するのが微分(勾配)です。
押さえるべき概念
- 微分(勾配):関数の変化の度合い。「ある点から坂を下る方向」と理解すればOK
- 偏微分:複数の変数があるときの、ある1つの変数についての微分
- 勾配降下法(Gradient Descent):誤差が最小になる方向に重みを少しずつ動かす学習手法
- 連鎖律(Chain Rule):合成関数の微分。誤差逆伝播法の数学的な土台
- 局所最適解 vs 大域最適解:山あり谷ありの関数で、必ずしも最も低い谷に行けないという問題
計算する必要はありません。「勾配降下法は誤差を最小化するために重みを更新する方法」と説明できれば合格レベルです。
3. 確率・統計:機械学習の評価で使う
機械学習モデルの性能を評価したり、不確実性を扱うときに必須の分野です。確率統計のなかでも、G検定で問われやすい範囲は限定的です。
押さえるべき用語
- 確率分布:正規分布・二項分布・ベルヌーイ分布の名前くらいは知っておく
- 期待値・分散・標準偏差:データのばらつきを表す指標
- 条件付き確率・ベイズの定理:「Aが起きたときにBが起きる確率」。スパムフィルタなどに応用
- 最尤推定:観測データから「最ももっともらしい」パラメータを推定する考え方
- クロスエントロピー:分類問題の損失関数として頻出
機械学習の評価指標
これらは丸暗記でOKですが、混同行列(Confusion Matrix)を一度紙に書いて視覚的に理解すると忘れません。
| 指標 | 定義 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 精度(Accuracy) | 全予測のうち正解の割合 | クラスが均衡なとき |
| 適合率(Precision) | 陽性予測のうち実際に陽性の割合 | 誤検知を減らしたいとき |
| 再現率(Recall) | 実際に陽性のうち正しく予測できた割合 | 見逃しを減らしたいとき |
| F1スコア | 適合率と再現率の調和平均 | 両者のバランスを取りたいとき |
勉強の優先順位
時間が限られている人は、以下の順で学習することをおすすめします。
- 確率・統計の評価指標(最頻出・暗記でOK)
- 勾配降下法・誤差逆伝播法の概念(ディープラーニング章で必須)
- 行列の積とテンソル(用語として)
- その他の数学(時間があれば)
挫折しないコツ
YouTubeの解説動画を併用するのが効果的です。「ヨビノリ」「予備校のノリで学ぶ」シリーズなど、視覚的に勾配降下法や行列演算を説明してくれる動画を活用すると、テキストだけで読むより圧倒的に早く理解できます。
また、練習問題の「数学・統計」カテゴリを繰り返し解くことで、「どんな聞かれ方をするか」のパターンが頭に入ります。完璧な理解より、試験で問われ方に慣れる方がコスパが良いです。
まとめ
G検定の数学は「概念を言葉で説明できる」レベルで十分。計算問題はほぼ出ないので、文系出身者でも臆せず受験できます。本記事で挙げた用語を全部「聞いたことある」状態にできたら、合格ラインに到達したと考えて大丈夫です。